8月1日から、失業給付の金額が引き上げられます
厚生労働省は令和8年7月31日、令和8年8月1日から雇用保険の「基本手当日額」を変更すると発表しました。
基本手当日額とは、いわゆる失業給付(失業保険)の1日あたりの支給額のことです。今回は上限額・最低額ともに引き上げとなります。
この見直しは原則として毎年8月1日に行われるもので、今回の変更理由は次の2つです。
- 令和7年度の平均給与額が、令和6年度と比べて約2.7%上昇したこと
- 最低賃金日額の適用にともなうもの
失業給付を受ける人、失業中に内職する人、60歳以降も働く人、育児で時短勤務をする人は確認してください。
現在働いている人で、上記の給付を利用していない人には、直近の家計への影響はほぼありません。
「毎年のことだから」と見過ごされがちですが、上限額に近い方や最低額に近い方は受け取れる金額が実際に変わります。この記事では、何がいくら変わるのかを整理してお伝えします。
変わるのは「基本手当日額」の上限と最低額
基本手当日額の上限額(離職時の年齢別)
| 離職時の年齢 | 変更前 | 変更後 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 | 7,450円 | +195円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 | 8,270円 | +215円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 | 9,110円 | +240円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 | 7,830円 | +207円 |
いちばん引き上げ幅が大きいのは45歳以上60歳未満の区分で、1日あたり240円の増額です。
基本手当日額の最低額(全年齢共通)
| 変更前 | 変更後 | 増減 | |
|---|---|---|---|
| 最低額 | 2,411円 | 2,562円 | +151円 |
最低額は、次の計算式で決まっています。
1,121円(令和8年4月1日時点での地域別最低賃金の全国加重平均額)× 20 ÷ 7 × 0.8 = 2,562円
最低額は本来、平均給与額の変動にあわせて毎年計算し直されますが、その額が「最低賃金日額」を下回る場合は、最低賃金日額を基準に最低額が決まる仕組みになっています。
「賃金日額」の範囲も変わります
基本手当日額は、いきなり決まるわけではありません。まず賃金日額を計算し、そこに給付率を掛けて求めます。
離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180 = 賃金日額
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賃金日額 × 給付率(50〜80%)= 基本手当日額
給付率は、賃金水準が低い人ほど高くなる仕組みです(最大80%)。なお60歳以上65歳未満の方は給付率の範囲が45〜80%となっており、他の年齢区分(50〜80%)とは下限が異なります。
※賃金日額のもとになる「賃金」には、基本給のほか通勤手当・残業手当などが含まれます。一方で、賞与のように3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものは含まれません。
この賃金日額にも上限と下限があり、今回あわせて引き上げられました。
賃金日額の上限額
| 離職時の年齢 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 14,510円 | 14,900円 |
| 30歳以上45歳未満 | 16,110円 | 16,540円 |
| 45歳以上60歳未満 | 17,740円 | 18,220円 |
| 60歳以上65歳未満 | 16,940円 | 17,400円 |
賃金日額の下限額
| 変更前 | 変更後 | |
|---|---|---|
| 下限額(全年齢共通) | 3,014円 | 3,203円 |
賃金日額が上限を超えている場合は、超えた分は反映されません。上限額で頭打ちになります。
自分はいくら変わる?計算してみました
ケース1:上限額にも最低額にも当たらない場合

- 35歳・一般事務職
- 退職前6ヶ月の賃金:毎月25万円(6ヶ月合計150万円)(税金・社会保険料を引く前の総支給額。賞与を除く)
賃金日額: 1,500,000円 ÷ 180 = 8,333円(1円未満切り捨て)
ただし、失業給付を受ける人全員が一律に増額されるわけではありません。実際の変更額は、離職前の賃金や離職時の年齢によって異なります。
賃金日額8,333円は、30歳以上45歳未満の区分の基準額の範囲内にあります(この区分の基準額は変更前が5,340円以上13,140円以下、変更後が5,480円以上13,490円以下です)。それぞれの基準額を使って計算式に当てはめると、次のようになります。
| 基本手当日額 | 90日分の合計 | |
|---|---|---|
| 変更前 | 5,707円 | 513,630円 |
| 変更後 | 5,775円 | 519,750円 |
| 増減 | +68円 | +6,120円 |
1日あたりは68円の増加ですが、所定給付日数90日で受け取ると合計で約6,100円の差になります。
複雑な計算式を自分で覚える必要はありません。ここでは「月25万円の例では、1日68円、90日分で6,120円増える」と分かれば大丈夫です。
ケース2:上限額に当たる場合
- 50歳・退職前6ヶ月の月収:毎月60万円
賃金日額: 3,600,000円 ÷ 180 = 20,000円
45歳以上60歳未満の賃金日額の上限は18,220円なので、この方は上限で頭打ちになります。基本手当日額は上限額がそのまま適用されます。
| 基本手当日額 | 150日分の合計 | |
|---|---|---|
| 変更前 | 8,870円 | 1,330,500円 |
| 変更後 | 9,110円 | 1,366,500円 |
| 増減 | +240円 | +36,000円 |
収入が高く上限に張り付いている方ほど、改定の影響をそのまま受けます。
ケース3:最低額に当たる場合
賃金日額が下限額(3,203円)を下回るような場合、基本手当日額は最低額の2,562円が適用されます。変更前の2,411円から151円の増額です。
※所定給付日数(90日・150日など)は、年齢・被保険者であった期間・離職理由によって人それぞれ異なります。上の計算で使った日数は、あくまで例として置いたものです。
※すでに受給中の方について、例年は8月以降の認定日にお返しする受給資格者証に新しい基本手当日額が記載される運用となっています。今年も同様の扱いになるかは、念のためお住まいの地域を管轄するハローワークにご確認ください。
※実際の金額は、ハローワークが正式に計算して通知します。ここでの計算はあくまで目安としてご覧ください。
基本手当以外にも変わるものがあります
今回の改定では、基本手当日額以外にも次の金額が引き上げられました。
失業中に内職・手伝いをした場合の控除額
失業の認定期間中に自分の労働で収入を得た場合、収入額に応じて基本手当が減額されることがあります。その計算に使う控除額が変わります。
| 変更前 | 変更後 | |
|---|---|---|
| 控除額 | 1,391円 | 1,429円 |
控除額が上がるということは、同じ収入なら減額されにくくなる方向の変更です。
高年齢雇用継続給付の支給限度額
60歳以降に賃金が下がった方を支える給付です。支給対象月に支払われた賃金がこの限度額以上だと、給付は支給されません。
| 変更前 | 変更後 | |
|---|---|---|
| 支給限度額 | 386,922円 | 397,369円 |
育児時短就業給付金の支給限度額
育児のために時短勤務をする方を支える給付です。こちらも同様に限度額が設けられています。
| 変更前 | 変更後 | |
|---|---|---|
| 支給限度額 | 471,393円 | 484,121円 |
今日からできるアクション
- 自分の賃金日額がどのあたりか、ざっくり計算しておく
退職前6ヶ月の賃金合計を180で割るだけです。上限額を超えそうか、下限に近いかが分かるだけでも見通しが立ちます
- 上限額に近い方は、増額分を計算に入れておく
上限に張り付いている場合、改定分がそのまま受給額に反映されます。所定給付日数を掛けると差額がはっきりします
- 給与明細の「雇用保険料」欄を確認する
雇用保険料が天引きされていれば加入しています。ただし明細の様式によっては控除項目がまとめて表示されることもあるため、欄が見当たらないだけで「加入していない」とは判断できません。確実に確かめたいときは、雇用保険被保険者証や勤務先の担当者、ハローワークに確認しましょう
- 給与計算を担当している方は、8月1日以後の改定資料に差し替える
高年齢雇用継続給付や育児時短就業給付金の支給限度額も変わるため、対象者がいる場合は確認が必要です
- 最新の金額は必ず公式情報で確認する
この見直しは原則として毎年8月1日に行われます。金額が変わることがあるため、古い記事や資料の数字をそのまま使わないよう注意してください
まとめ
令和8年8月1日からの変更点を整理します。
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| 基本手当日額の上限額 | 年齢別に195円〜240円の引き上げ |
| 基本手当日額の最低額 | 2,411円 → 2,562円(+151円) |
| 賃金日額の上限・下限 | あわせて引き上げ |
| 内職時の控除額 | 1,391円 → 1,429円 |
| 高年齢雇用継続給付の支給限度額 | 386,922円 → 397,369円 |
| 育児時短就業給付金の支給限度額 | 471,393円 → 484,121円 |
変更の理由は、令和7年度の平均給与額が前年度比で約2.7%上昇したことと、最低賃金日額の適用によるものです。
1日あたりで見ると数百円の変化ですが、給付日数を掛ければ数千円から数万円の差になります。退職を控えている方は、新しい金額で見通しを立て直しておくと安心です。
うさチュウ失業給付の金額は原則として毎年8月1日に見直されるよ。ネットで見つけた「いくらもらえる」の記事が去年の数字のままだったりするから、金額を調べるときは必ず「いつの情報か」を確認してね!
よくある質問
- 失業給付の金額はなぜ8月に変わるのですか?
-
基本手当日額の算定基礎となる賃金日額の上限額・最低額などが、毎年度の平均給与額の変動に応じて見直される仕組みになっているためです(原則として毎年8月1日)。令和8年の改定は、令和7年度の平均給与額が令和6年度と比べて約2.7%上昇したことと、最低賃金日額の適用にともなうものです。
- 令和8年8月1日からの基本手当日額の上限はいくらですか?
-
離職時の年齢によって異なります。30歳未満が7,450円、30歳以上45歳未満が8,270円、45歳以上60歳未満が9,110円、60歳以上65歳未満が7,830円です。最低額は全年齢共通で2,562円です。
- 自分の失業給付がいくらになるか自分で計算できますか?
-
おおよその目安は計算できます。退職前6ヶ月の賃金合計を180で割って賃金日額を求め、そこに50〜80%の給付率を掛けます(賃金水準が低いほど給付率は高くなります。60歳以上65歳未満の方は45〜80%)。なお賃金合計には賞与など3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものは含みません。ただし正確な金額はハローワークが計算して通知しますので、目安としてご覧ください。
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※この記事は作成時点の公的情報をもとに一般的な内容をまとめたものです。制度は改正される場合があります。実際の判断は、厚生労働省・ハローワーク(公共職業安定所)などの公式情報や、勤務先・専門家にご確認ください。
参考情報源(公的機関)
