【給与計算に資格は必要?】資格取得の判断軸と、今は取らなくていい人

担当者

わたし、資格を持ってないのに給与計算やってるんだけど……これって大丈夫なの?

うさチュウ

法律上はまったく問題ないよ。むしろ、そこを勘違いしてる人が多いんだ。

担当者

えっ、じゃあ資格って要らないの?

うさチュウ

「要る/要らない」じゃなくて、何のために取るかで答えが変わるんだ。

給与計算、算定基礎届、月変などの業務で、ふと不安になることはありませんか。

「無資格の自分がこんな大事な仕事をして本当にいいのだろうか」——そう思って資格の情報を調べ始めたものの、必要な資格って?本当に必要なのか分からないまま止まっている。そんな方は多いと思います。

私も10年以上給与計算をしていますが、資格がなくても給与計算の実務はできます。この仕事に必須の資格はないものの、「だから要らない」という話でもありません。

この記事でわかること

  • 給与計算に資格が要らない法的な理由(条文で確認します)
  • 資格を取るかどうかの判断軸
  • いまは取らなくていい人の条件

先に結論です。資格は「持っていないと働けないもの」ではなく、「経験を外から見えるようにする道具」です。だから、外に見せる必要がない時期なら、まだ取らなくてもいいと考えます。

目次

給与計算そのものに、必須の資格はありません

自社の従業員として自社の給与計算をするのに、資格は要りません。

「社会保険労務士の資格がないとダメなのでは」と心配される方がいますが、条文を読むとはっきりしています。社会保険労務士法の第27条は、こう定めています。

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。

ポイントは 「他人の求めに応じ報酬を得て」 の部分です。

制限されているのは、よその会社から依頼を受けて、報酬をもらって代行する場合です。自分の勤務先の手続きを、その会社の従業員として行うことは、ここに当てはまりません。

つまり、自社の給与計算や社会保険の手続きは、資格がなくてもできるということです。

それでも資格を考える理由は、3つに絞れます

資格が不要とはいえ、担当者が資格を検討する場面は次の3つに整理できます。

① 実務経験の能力を第三者に説明しやすくなるため
資格を取れば手当が支給される。評価が上がるなど収入アップにつながる。履歴書などに記載するなど、資格そのものより、第三者への証明「この人は一定の知識があります」と伝えるための記号として使える。

② 知識の穴を埋めるため
実務は「自社で起きたこと」しか経験できません。自社に該当者がいない制度は、何年やっても手つかずのまま残ります。体系的に学ぶと、その穴が見つかります。

③ 社外で仕事にするため
先ほどの第27条の裏返しです。よその会社の手続きを報酬を得て代行するなら、社労士の資格が必要になります。独立や受託(シェアードサービス)を考えるなら、ここは避けて通れませんが、社労士と業務提携している場合もあるため状況により判断します。

①をもう少し深掘りします
私はこれまでに以下のようなタイミングで資格取得を考えた人たちを何人も見てきたので現場のリアルです。

  • 給与システムが変わって仕事の範囲が変わる
  • 部署異動になる
  • 組織再編でポジションがなくなる
  • 上司が変わって評価基準が変わる
  • 転職したくなる

自分の会社は社員の生活を良くしようと給料を上げてくれる会社か?正当に評価してくれる会社なのか?そう考えた時に、答えが「NO」ならば、今のスキルを持ったまま、業界を変えるのもオススメです!儲かる業界へ転職すると、同じ職種でも給料が高かったりします。書類選考だけを考えるなら、同じスキルと経験者を比べたときに、資格があったほうが有利になる場面はあると思います。

目的別に、選ぶものは変わります

目的向いているもの補足
実務の穴を埋めたい給与計算実務能力検定給与計算そのものが範囲。実務直結だが知名度は高くない
転職で分かりやすく示したい日商簿記・社労士採用側に伝わりやすいのはこちら
独立・受託したい社労士報酬を得て他社の手続きを行うには必須(第27条)

「実務で効く資格」と「履歴書で効く資格」は、同じではありません。ここを混ぜて考えると、時間とお金を使ったのに手応えがない、ということが起こります。

いまは取らなくていい人

次のどれかに当てはまるなら、資格より先にやることがあります。

① 年間の実務をまだ1周していない人
4月の入社対応から、算定基礎届、年末調整まで。1年を通して経験を積むと、自分に何が足りないかが具体的に分かります。その前に資格を選ぶと、目的のない勉強になります。

② 今の会社に長くいるつもり、転職や独立の予定が、まだ具体的にない人
資格は「外に見せる道具」です。見せる相手がいない時期に急いで取っても、効果を確かめられません。
資格取得によって仕事内容もほぼ変わらないのなら、別の能力に投資したほうがスキルアップになります。

③ 資格を取っても、いまの職場の評価が変わる見込みがない、資格取得で収入アップにつながらない人
手当や等級に反映されないなら、社内向けの効果は限定的です。それでも取る価値はありますが、目的は「社外向け」だと自覚しておくほうが後悔しません。学習コストをかけたのにリターンがないのは悲しい。

資格を取らないことは、逃げではありません。優先順位の問題です。

うさチュウ

大切な時間・お金をかけたのに回収できない投資になってない?

取るとしても、その前に1つだけ

先に「経験の棚卸し」をしてください。

この1年で自分が担当したことを、月ごとに書き出すだけです。4月は入社対応、6月は住民税の切り替え、労働保険の年度更新、7月は算定基礎届、11月から年末調整、翌年1月は給与支払い報告書、源泉徴収書発行、賞与、月々の月変対応——書き出すと、思っているより手が動いていたことと、まだ触れていない領域の両方が見えます。

その空白を見てから資格を選ぶと、「なんとなく評判がいいから」ではなく、合理的に考えて自分に必要だから選ぶことになります。

なお、条件を満たせば教育訓練給付制度で受講費用の一部が支給される場合があります。申し込む前に、住所地を管轄するハローワークで対象講座かどうかを確認してください。

うさチュウ

資格を持ってないことに引け目を感じる必要はないよ。実務経験のほうが、よっぽど確かな中身だからね。

よくある質問

給与計算に資格は必要ですか?

自社の従業員として自社の給与計算をする場合、必須の資格はありません。社会保険労務士法第27条が制限しているのは「他人の求めに応じ報酬を得て」行う場合であり、勤務先の手続きを社内で行うことは対象外です。

給与計算実務能力検定は転職で役に立ちますか?

実務の知識を体系的に確認できる点で役立ちますが、採用の場面での知名度は日商簿記や社労士のほうが高い傾向があります。実務の穴を埋めたいのか、履歴書で伝わりやすさを重視するのかで選び分けるのが現実的です。

資格の勉強にかかる費用を抑える方法はありますか?

一定の要件を満たす講座は、雇用保険の教育訓練給付制度の対象となり、受講費用の一部が支給される場合があります。対象講座かどうかは、住所地を管轄するハローワークで事前に確認してください。

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※この記事は作成時点の公的情報と、給与計算実務の経験にもとづいてまとめたものです。資格試験の内容・受験要件・給付制度の条件は変更される場合があります。最新の情報は各実施団体やハローワークの公式情報でご確認ください。

参考情報源(公的機関)

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