【2026年の年末調整】去年と変わる5つのこと|12月の手取りはどう変わる?

2026年の年末調整で去年から変わることを紹介するアイキャッチ。うさチュウが年末調整の申告書を持ち、足元には「去年の控え」と書かれた書類の束に禁止マークが重ねてある。12月のカレンダーからコインがこぼれ、上向きの矢印が添えられている

毎年11月ごろ、会社から「基礎控除申告書」や「保険料控除申告書」が配られて、なんとなく去年の控えを見ながら書いて出している。年末調整って、正直よく分からないまま毎年やり過ごしている人は多いと思います。

でも2026年(令和8年分)の年末調整は、去年から中身がけっこう変わります。何も知らずにいると、書き間違えて損をしたり、「12月の給料、なんか多い(少ない)けど何で?」とモヤモヤすることになります。

退職や入社の手続きは給与計算の担当者が処理していて、その横で年末調整の書類を何年も見てきた立場から説明します。

この記事を一言でまとめると、「税金がかからない年収の線が上がったので、書類に去年と同じ金額を写すと損をすることがある」です。

読むと、(1) 何が変わったのか (2) 自分の12月の手取りにどう響くのか (3) 申告書を書くときに気をつけることが分かります。数字の計算は出てきません。

結論だけ先に言うと、やることは去年とほぼ同じです。ただし「基礎控除額」を書く欄だけは、新しい様式の表を見て、自分の見込み年収に合う金額を選んでください。

目次

この記事でわかること

  • 2026年(令和8年分)の年末調整で変わる5つのポイント
  • 所得税がかからない年収が「160万円」から「178万円」に上がったこと
  • 家族を扶養に入れられる年収が「123万円」から「136万円」に上がったこと
  • 変更は12月の年末調整でまとめて反映されるので、12月の給与明細に注目すること
  • 「基礎控除申告書」は様式が変わるので、去年の数字をそのまま写さないこと

そもそも年末調整で何が起きているのか

年末調整とは、毎月の給与から多めに天引きしてきた所得税を、1年分の正しい金額に計算し直して精算する手続きです。

毎月の天引き(源泉徴収)は、「たぶんこれくらい」というざっくりした表で計算されています。生命保険料控除や扶養の状況などは、毎月は反映されていません。そこで年末に1年分をまとめて計算し直し、天引きしすぎていた分を返す(まれに足りなくて追加で引く)のが年末調整です。

多くの人は天引きが多めなので、12月の給与で還付(返金)を受けます。

てどりちゃん

じゃあ2026年に制度が変わると、その「返ってくる金額」も変わるってことですか?

うさチュウ

そう。2026年は所得税がかからない範囲が広がったから、同じ年収でも税金が減る=返ってくる金額が増える人が多いよ。しかもその変更が、毎月の天引きには入っていなくて、12月の年末調整でまとめて反映されるんだ。

変わること1|所得税がかからない年収が「178万円」に上がる

2026年(令和8年分)から、収入が給与だけの人は、年収178万円までは所得税がかからなくなりました(2025年分は160万円)。

理由は、所得税を計算するときに誰でも差し引ける2つの控除が引き上げられたからです。

  • 給与所得控除の最低保障額:給与をもらっている人が対象。65万円から74万円に引き上げられました
  • 基礎控除:すべての人が対象。最高104万円に引き上げられました

この2つを足すと、178万円になります。

給与所得控除(最低保障額)  74万円
基礎控除(最高額)      104万円
            ─────────
              178万円  ← ここまでは所得税がかからない

基礎控除は、全員が104万円ではありません

ここは誤解しやすいところです。基礎控除の金額は、その人の1年間の所得によって変わります。

  • 年収およそ665万円までの人は104万円です。多くの方はここに当てはまり、去年よりいちばん大きく増えます
  • 年収がそれを超えると、増え方は小さくなります

自分がいくらになるかは、申告書を見れば分かります。「基礎控除申告書」には「判定」という欄があり、自分の所得の見込みに合う行にチェックを付けると、その横に控除額(104万円・67万円・62万円など)が印刷されています。去年の控えを見ずに、今年の用紙のこの欄で確認してください。

区分ごとの正確な金額は、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」でも確認できます。

変わること2|家族を扶養に入れられる年収が「136万円」に上がる

扶養している家族(子ども・親など)を、税金の「扶養控除」の対象にできる年収の上限が、123万円から136万円に上がりました(2026年・令和8年分から)。

ここでいう「扶養」は所得税の話です。健康保険の扶養(被扶養者)は別の制度で、金額も判定も違います(→後述)。また扶養控除の対象になるのは原則として16歳以上の親族です(16歳未満の子は児童手当の対象なので、扶養控除はありません)。

これまで「103万円の壁」と呼ばれていた線は、2025年分(令和7年分)に123万円へ、2026年分(令和8年分)にさらに136万円へと引き上げられています。

  • 子どもがアルバイトをしていても、その子の年収が136万円以下なら、あなたの扶養控除の対象にできます
  • 配偶者を「配偶者控除」の対象にできる年収も、同じく136万円以下に広がりました

学生本人が働いている場合は、「勤労学生控除」を受けられる年収の上限も150万円から163万円に上がりました。自分でアルバイト代から所得税を引かれている学生は、この欄も確認してください。

てどりちゃん

うちは大学生の子がアルバイトしてて、年収130万円くらいなんですけど、扶養から外れちゃいますか?

うさチュウ

2026年分なら、年収136万円以下だから扶養に入れられるよ。しかも19歳以上23歳未満の子は控除の額が大きい区分だから、外れると影響も大きいんだ。もし136万円を超えてしまっても、197万円までは「特定親族特別控除」という別の控除があるから、いきなりゼロにはならないよ。子どものアルバイトの年収は、12月までにいったん確認しておくと安心だね。

19歳以上23歳未満の子の年収が136万円を超えた場合は、扶養控除の代わりに「特定親族特別控除」の対象になることがあります(年収197万円まで)。申告書に該当する欄があるので、空欄のままにしないよう気をつけてください。

【重要】「税金の扶養」と「社会保険の扶養」は別物です

扶養されている家族の年収を横軸にして、税金の扶養は136万円まで、社会保険の扶養は130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満)と線の位置が違うことを表した図。130万円から136万円の間は税金はセーフだが社会保険はアウトになる

ここを混同すると、判断を間違えます。同じ「扶養」でも、税金と社会保険では金額も、判定の仕方も、手続きする場所も違います。

税金の扶養(扶養控除など)社会保険の扶養(健康保険の被扶養者)
年収の目安136万円以下(2026年分から)130万円未満
19歳以上23歳未満は150万円未満
60歳以上・障害のある方は180万円未満
いつの収入で見るかその年の1月〜12月の実績これからの見込み
対象になる年齢原則16歳以上下の年齢の制限はなし。ただし75歳になると外れます(後期高齢者医療制度に移るため)。続柄などの条件もあり
どこで手続きするか年末調整の申告書(勤務先)家族の勤務先
外れるとどうなるか扶養している人の税金が増える本人が自分で健康保険に入ることになる

金額が近いので、つい同じものだと思ってしまいます。でも「税金の扶養からは外れないが、社会保険の扶養からは外れる」という状態は普通に起こります。

⚠️ 社会保険のほうも動いています。「所得税だけが変わって、社会保険は据え置き」ではありません。

  • 19歳以上23歳未満の家族(配偶者を除く)を健康保険の扶養に入れられる年収は、150万円未満に引き上げられました
  • 「106万円の壁」(月額8.8万円以上で厚生年金などに加入する賃金要件)は、撤廃されることが決まっています(2025年6月から3年以内)

社会保険の扶養に入れるかどうかは、家族の勤務先の健康保険に確認するのが確実です。健康保険組合によって運用が違うことがあります。

変わること3|23歳未満の子がいる家庭は生命保険料控除が手厚くなる

23歳未満の扶養している子どもがいる家庭は、2026年・2027年分(令和8年・9年分)の2年間だけ、生命保険料控除の一部が拡大されます。

具体的には、2012年(平成24年)以降に契約した生命保険(新契約)にかかる「一般生命保険料控除」の上限が、4万円から6万円に引き上げられます。

  • 対象:年末時点で23歳未満の扶養親族がいる人
  • 期間:令和8年分・令和9年分の2年間限定
  • 介護医療保険料・個人年金保険料の枠(各4万円)や、3つを合わせた上限12万円は変わりません

金額の計算は年末調整の用紙に沿って進めれば自動的に反映されるので、保険会社から届く「控除証明書」を捨てずにそろえておくことだけ意識すれば大丈夫です。

変わること4|変更は12月の年末調整でまとめて反映される

2026年の年末調整の流れ。1月から11月まではこれまでどおりの計算で天引きされ、12月に新しいルールで1年分を計算し直して引きすぎた分が戻り、2027年1月からは毎月の天引きも新しいルールになることを表した図

基礎控除の引き上げなどは、2026年11月までの毎月の給与天引きには反映されていません。12月の年末調整で1年分をまとめて計算し直すときに、初めて反映されます。

国税庁も「令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じない」と説明しています。つまり、

  • 1月〜11月の給与:これまでどおりの表で天引きされている(=やや多めに引かれている)
  • 12月の年末調整:新しい基礎控除・新しい計算表で1年分を計算し直し、引きすぎた分を精算

この結果、2026年12月の給与では、去年より還付が増える人が多くなる見込みです。「12月の振込額がいつもより多い」と感じたら、多くの場合はこの精算によるものです。

なお、2027年1月からは、毎月の天引きにも新しい税額表が使われるようになります。

変わること5|「基礎控除申告書」は様式が変わる。去年の数字を写さない

2026年分から「給与所得者の基礎控除申告書」の様式が新しくなり、自分の見込み年収の区分に応じた基礎控除額を書く必要があります。去年の控えの数字をそのまま写すのは間違いのもとです。

基礎控除の額は、2026年分から「その人の1年間の所得の見込み」によって変わる仕組みになりました。申告書には、見込み年収(または見込み所得)の区分と、それに対応する控除額を書く欄があります。

  • 新しい様式に印刷されている区分表を見て、自分の見込み年収に近い区分の金額を書く
  • ⚠️ 用紙が「令和7年分」でも間違いとは限りません。令和8年分の様式を使うのは12月1日以後に年末調整をする場合で、11月30日以前に年末調整をする会社は、令和7年分の様式を補正して使うことが国税庁で認められています。用紙の年分ではなく、基礎控除額の欄を今年の区分で書けているかを見てください
  • 迷ったら会社の給与担当に「基礎控除の欄は今年の区分でいいですか」と聞くのがいちばん早いです
てどりちゃん

区分とか金額とか、間違えそうで怖いです……。

うさチュウ

新しい様式は、年収の区分を選ぶと対応する金額が分かるようになっているよ。去年の紙を見ながら同じ数字を書き写すのだけはやめて、今年配られた紙の表に沿って書けば大丈夫。よく分からなければ空欄で出さずに、給与担当に聞いてね。担当者はこの時期その質問に慣れているから、遠慮しなくていいよ。

逆に「変わらない」「勘違いしやすい」もの

年末調整のまわりでは、2026年に変わったように見えて実は今年の年末調整には関係しないものもあります。混乱しないように整理しておきます。

  • ひとり親控除の引き上げ(35万円→38万円):適用されるのは2027年分(令和9年分)から。2026年の年末調整では従来どおり
  • 源泉徴収票の見た目税制改正による様式変更はありません。ただし国税庁のシステム更改に伴い、2026年8月以降、源泉徴収票を含むすべての法定調書の様式が変わります(税制改正とは別の理由です)
  • 社会保険の「106万円」「130万円」の壁:所得税とは別の制度で、年末調整の変更とは連動しません。⚠️ ただし社会保険のほうも動いています。①19歳以上23歳未満の家族(配偶者を除く)を健康保険の扶養に入れられる年収は、150万円未満に引き上げられました②「106万円」の賃金要件は撤廃されることが決まっています(2025年6月から3年以内)。「所得税だけが変わって社会保険は据え置き」ではない点に注意してください
  • 通勤手当と「食事の現物支給」の非課税枠の見直し:2026年4月から変わっています(食事は会社が現物で出す場合の話で、月3,500円→7,500円)。いずれも毎月の給与での扱いなので、年末調整で自分が何かする項目ではありません
  • 防衛特別所得税の新設:2027年1月から始まりますが、同時に復興特別所得税が2.1%から1.1%に下がるため、合計の税率2.1%は変わりません。国税庁も「改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません」と説明しています。2026年の年末調整とも関係ありません

まず何をすればいい?

2026年の年末調整で、給与をもらう側がやることは、去年と大きくは変わりません。負担の軽い順に挙げます。

  1. 配られた申告書の「基礎控除額」の欄を確認する(用紙が令和7年分でも、11月中の年末調整なら補正して使うので問題ありません)
  2. 「基礎控除額」の欄は、今年の用紙の区分表に沿って書く。去年の控えを写さない
  3. 扶養している家族の2026年の年収の見込みを確認する(特に子どものアルバイト。136万円が一つの目安)
  4. 生命保険などの「控除証明書」を早めにそろえる。23歳未満の子がいる家庭は一般生命保険料控除の枠が広がっている
  5. 12月の給与明細を見て、還付額が去年と違っても慌てない。制度が変わったことによる精算の可能性が高い

分からない欄を空欄のまま出すより、給与担当に一言聞くほうが早くて確実です。

よくある質問

2026年の年末調整は何が変わりますか?

大きくは、(1) 所得税がかからない年収の線が160万円から178万円に上がった (2) 家族を扶養に入れられる年収の上限が123万円から136万円に上がった (3) 23歳未満の子がいる家庭の生命保険料控除が2年間だけ手厚くなった、の3点です。これらは2026年12月の年末調整でまとめて反映されます。手続きの流れ自体は去年と同じです。

年末調整で12月の給料は増えますか?

増える人が多い見込みです。2026年11月までの毎月の天引きは去年と同じ表で計算されていて、基礎控除の引き上げなどは12月の年末調整で初めて反映されます。そのため、引きすぎていた所得税が12月の給与でまとめて還付され、去年より戻る金額が増える人が多くなります。追加で引かれるケースもゼロではありません。

パートやアルバイトの「扶養の壁」は2026年に103万円から変わりましたか?

所得税の扶養(扶養控除・配偶者控除)の年収の上限は、2025年分に123万円、2026年分にさらに136万円へ引き上げられました。ただし社会保険の「106万円」「130万円」は別の制度です。所得税と連動して動くわけではありませんが、社会保険のほうも19歳以上23歳未満の家族の年収要件が150万円未満に上がり、「106万円」の賃金要件も撤廃が決まっています。「扶養」と一口に言っても税金と社会保険で線が違う点に注意してください。

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この記事のほかにも、給与明細の項目ごとに記事を分けています。気になるところだけ拾い読みできるように、項目別のガイドを用意しました。

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参考情報源

※この記事は2026年9月3日時点の情報をもとに作成しています。制度は変わることがあるため、実際に手続きをするときは最新の情報を国税庁のサイトでご確認ください。個別の判断は勤務先の給与担当者や税務署にご相談ください。

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