てどりちゃんはぁ、モヤモヤする〜。頑張って最高評価をもらったのに、昇給額が数千円で、等級も上がらないんだよ。でも、上司は褒めてくれたから、辞めるのはまだ早いかなぁ……。



それは頑張ったのにモヤモヤするね。
努力して成果を出しても、等級・在籍年数・役割・会社の原資で報酬を決める会社もあるから、成果と報酬が連動しないことがほとんどなんだ。



う〜ん、思い当たるふしが…。
基準以上に成果を出しても評価がいまいちだったり、自分より成果を出してないのに昇給する人もいるし。



人事評価にモヤモヤする人へ、今回は、辞めるかどうかを決める前に確かめておきたいことを3つ話すね。決めるのは、そのあとで大丈夫だよ。
日曜の夜になると、「また明日から仕事かぁ……。」と、少し気が重くなる。いまの会社で自分の未来が想像できない。かといって、辞めるほどの決定的な理由があるかと聞かれると答えに詰まる。そんな状態が気づけば何年も続いていないでしょうか。
結論からお伝えすると、いま決めなくて大丈夫です。この記事でおすすめするのは「辞めるか、残るか」をすぐに決めることではなく、決めるための材料を3つそろえることです。
私は人事労務を10年以上担当してきました。会社の給料がどう決まり、どう上がっていくのかを、内側から見てきた立場です。会社が掲げる行動指針が、実際の評価・昇進・意思決定では使われていない会社も見てきました。そもそも「頑張るほど報われる設計になっていない」会社であれば、これは個人の努力不足ではありません。
この記事でわかること——辞める前に確かめたい3つのこと(給料の上がり方・社内で変えられる余地・外での評価)と、その調べ方です。
なぜ何年もモヤモヤしたままなのか
- 辞めたいほどではないけれど、このままでいいのか分からない
- 生活費をもらうための場所と割り切れない
- 不満をうまく言葉にできず、相談しても「わがまま」と思われそうで話せない
- 転職サイトを開いては、何もせずに閉じている
- 企業風土になじめないまま、惰性で続けている



ここまでやってきたし、もう少し頑張れば、報われるかもしれないと期待し続けて気づけば何年も経ってるよ。



今の環境は嫌だけど、転職する→新しく仕事を覚える→人間関係を一から構築するとなれば不安も大きい。長くいるほど「ここまで頑張ったのに」という気持ちが出るし、グチを言ってスッキリすると一時的に気持ちが軽くなり、行動が先延ばしになるんだよね。
辞めたいけどとりあえず続けるの繰り返しでぐるぐるするのには理由があります。状況を整理して判断するための材料が手元にないからです。これまでに話を聞いた中には、昇給の基準を説明されたことがなく、評価がどう給与に反映されるのか、賞与の基準も分からないまま働いている、という方が何人もいました。
迷いが晴れないのは、意志が弱いからではなく、材料が足りないからです。集める順番は、①社内の情報 → ②社内での相談 → ③社外での評価。いきなり③から始めないのが大事なところです。
確かめたいこと① 自分の給料が、この先どう上がるのか
あなたの会社の昇給の決まり、知っていますか? 就業規則(賃金規程)で確認できます。
労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する事業場(本社・支店・店舗など、職場ごとの単位)に就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務づけ、必ず記載する事項のひとつとして「昇給に関する事項」を挙げています。さらに同法第106条で、会社は就業規則を、常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け・書面の交付などの方法で労働者に周知させなければならないと定めています。会社は従業員に知らせなければならないのです。
なお、10人未満の職場には作成義務がなく、就業規則が無いこともあります。その場合は、入社時の労働条件通知書や雇用契約書を確認してください。
読むのは次の3か所だけで十分です。
- 昇給はいつ、どういう条件で行われると書かれているか
- 賃金の決め方(等級・評価との関係)
- 手当の種類と、その支給条件
これで、「頑張れば収入が上がる」と漠然と思っていたものが、制度として上がるのか、上がらないのかに変わります。使っていない手当や等級の余地が見つかることもあります。どちらでも一歩前に進みます。
ただし、就業規則で分かるのはここまでです。記載が義務づけられているのは昇給の時期や条件までで、等級ごとの評価の付け方や、何点でいくら上がるのかといった細かい基準は、別の規程になっていることが多いです。
次に別の規程で、評価や昇格の詳細を読みます。
- 等級ごとの評価の基準
- 点数といくら上がるのか
- 昇格の条件
- 相対評価・絶対評価どちらで評価するのか
評価基準の詳細まで知ることができれば、評価されやすい行動を意識できます。社内で公開していない会社は人事や上司に聞けたら聞いてみてください。ここまで分かると判断がぐっと楽になります。
周りの目が気になり就業規則を見にくい。何を調べているのか興味を持たれそう。「辞める気なの?」と思われそうで気が引ける、という声をよく聞きますが、自分の労働条件を確認するのは当たり前のことなので心配しないでください。人事や総務に「どこで見られますか」と聞くだけでいいし、社員が就業規則を見るのに理由を説明する必要もないので、教えてくれると思います。
確かめたいこと② 自分で変えられる範囲があるのか


①で仕組みが分かったら、次は辞めずに変えられる部分がないかを見ます。ここを飛ばして転職活動に進んでしまうのは、もったいないと感じるので、自分が優先する基準で何を大切にしているのか書き出し、自分の行動で変えられるか試してみましょう。
人によって価値観が異なるので、以下は例です。
- 評価面談で、昇給の条件(詳細)や評価される課題を具体的に確認する
- 自分の周りの評価されている人を真似てみる
- 担当業務の範囲や業務内容を変えられるか聞いてみる
- 異動の希望を出してみる
- 時短勤務、または契約社員など雇用形態を変更できるか確認する
- 資格手当や役割手当など、申請すれば付く手当がないか調べる
給料や働き方の条件を変えてみる
特に手当は「該当する人が自分から申請する」運用にしている会社もあり、申請していなかったために受け取れていなかったケースを、実務で何度か見てきました。
評価が報酬に反映されているか確かめる
会社の評価軸に特化して目立つ成果(他の人がやっていない課題を解決・企画する)を出すと、評価されやすいです。基準を満たしているのに、報酬に反映されない会社かどうかも分かってきます。



評価基準が明文化されていても、実際に高く評価される人は、上司から見て安心して任せられ、目立つ成果を出せる人の場合もあるから、会社の風土にもよるね。



うん、会社員のリアルだね。
それに、偶然「はたらかない人」の給料が自分より高いと知ってショックを受けることもあるよ。



それ、大企業とか古い体質の会社で起きやすい構造だと思う。「今期すごく成果を出した人」よりも、「以前から高い等級にいる人」のほうが高くなりやすいんだ。毎日ただ椅子を温めているだけの人でもね。
手強いのは「相対評価」
大所帯の部署では仕組み上、個人の努力だけでは評価が上がりにくくなるのは事実です。最高評価をもらえる人数が、あらかじめ全体の1〜2割程度に決められている会社もあります。仕組み上、大半の人が「真ん中の人」になるよう設計されているので、能力が低い、努力不足と自分を追い込まないでください。
やれることをやってみて、何も変わらないと分かったなら、それも十分な材料です。「なんとなく合わない」が「評価の仕組み上、収入アップに時間がかかる会社だった」「この会社では未来が見えない」「自分の努力だけでは変えられないと確認した」に変わります。
確かめたいこと③ 自分の経験が、外でどう評価されるのか
3つ目は、辞めるためではなく、自分の値段を知るために調べます。まず、これまでやってきた仕事を書き出します。うまくまとめようとせず、事実を並べるだけで構いません。
- 担当した業務と、その範囲(何人分・何社分・年何回など)
- 一人で回していた業務、期限を遅らせられない業務があるか
- 仕組みやルールを改善した経験があるか
そのうえで、求人を眺めるだけでもいいんです。応募しなくて構いません。同じような業務内容がいくらで募集されているか、業界を変えると同じ職種がいくらで募集されているのか、を見るだけで、相場観と業界による違いが見えてきます。
ここで大事なのは、転職すれば必ず給料が上がるわけではない、ということです。もちろん上がる可能性もあります。収入だけで見れば、下がる転職はオススメできません。ただ、通勤時間・定時退社・テレワークなど、お金以外で取り戻せるものがあるなら、それも選択肢です。
参考までに、厚生労働省の雇用動向調査(令和7年上半期=2025年1〜6月)では、転職して入職した人(前の勤め先で雇われて働いていた人)のうち、前職と比べて賃金が「増加」した人は39.4%、「減少」した人は31.5%でした。増えた人のほうが多いものの、減った人も3割います。
だからこそ、勢いで動かず、比べてから決めます。選択肢を持ったうえで残るのと、選択肢がないまま残るのは、同じ「残る」でも気持ちがまったく違います。
3つそろってから、決めればいい
| 確かめること | 何が分かるか | 負担 |
|---|---|---|
| ① 就業規則の昇給の条件 | この会社で給料が上がる道筋があるか | 小(読むだけ) |
| ② 社内での相談・申請 | 辞めずに変えられる余地があるか | 中 |
| ③ 経験の棚卸しと求人比較 | 自分の経験が外でどう見られるか | 小(見るだけ) |
3つとも辞める手続きではありません。在籍したままできて、やめたくなればいつでも止められる準備です。そして3つ終わるころには、判断するための材料がそろっています。「残る」でも「動く」でも、材料を見て自分で選んだ結論なら納得できます。
いかがでしょうか。評価基準そのものが形骸化していて、実際の評価には使われていない——そんな会社だったとしても、ガッカリする必要はありません。それが分かったこと自体が、次への一歩になります。
誰が報われ、何をすると不利になるのかが分かると、その会社の本音がみえてくるのではないでしょうか。
なお、ここまでは「自分で確かめて、自分で動かす」話です。もし賃金を一方的に下げられた、不利益な配置転換をされた、ハラスメントを受けているといったことが起きているなら、それは確かめる段階の問題ではありません。厚生労働省の総合労働相談コーナーに、無料・予約不要で相談できます。解雇・雇止め・配置転換・賃金の引下げ・いじめ・パワハラなど、職場のトラブル全般が対象です。
よくある質問
- 転職すべきか迷っていますが、決定的な不満がありません。それでも転職を考えていいのでしょうか?
-
はい、問題ありません。強い不満がなくても「この先が想像できない」という理由は、キャリアを考える時期にきていると思います。いきなり辞める必要はなく、就業規則で昇給の仕組みを確認する、キャリアアップについて支援制度があるか社内で相談する、求人を見て相場を知るなど、在籍したままできることから始めれば十分です。
- 会社の就業規則は、従業員が見せてもらえるものなのでしょうか?
-
はい、就業規則がある会社なら見ることができます。労働基準法第106条で、会社は就業規則を見やすい場所への掲示や備え付け、書面の交付などの方法で労働者に周知させなければならないと定められています。ただし作成が義務づけられているのは常時10人以上の労働者を使用する事業場で、それより小さい職場には就業規則が無いこともあります。理由を説明せずに「どこで見られますか」と聞けます。
- 転職したら給料は上がりますか?
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必ず上がるとは限りません。応募の前に、同じような業務内容の求人がいくらで募集されているかを見ておくと判断しやすくなります。
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※この記事は作成時点の公的情報と、経験にもとづいてまとめたものです。法令や統計は改正・更新される場合があるため、最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。就業規則の内容や運用は会社ごとに異なります。
参考情報源(公的機関)



