配偶者控除は年収いくらまで?所得制限と配偶者特別控除の違い【確かめ方3つ】

源泉徴収票の1か所を指さすうさチュウ

「妻(夫)の収入、いくらまでなら控除が使えるんだったかな」。年末調整の紙を前にして、毎年ここで手が止まる人は多いです。

しかも困ったことに、この金額は数年おきに変わります。去年覚えた数字が、今年はもう違う。ネットで調べても、古い記事と新しい記事が並んでいて、どちらが今のものか分かりません。

給与計算の実務では、この申告書を毎年何十枚と見てきました。そこで気づいたのは、金額を覚えている人より、確かめ方を知っている人のほうが間違えないということです。

この記事は、金額そのものより「自分で確かめる手順」を渡します。改正があっても、手順は変わりません。

読むと、(1) 配偶者控除と配偶者特別控除はどこが違うのか (2) 源泉徴収票のどこを見れば判断できるのか (3) 税の扶養と社会保険の扶養がなぜ別物なのか が分かります。

⚠️ この記事は「所得税」の配偶者控除の話です。相続税にも「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」という制度がありますが、まったく別の制度です。

目次

この記事でわかること

  • 配偶者控除の目安は、給与だけなら年収136万円以下(令和8年分)
  • ただし本当に見るべきなのは年収ではなく、「合計所得金額」であること
  • 合計所得金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で確かめられること
  • 収入が目安を超えても、配偶者特別控除に切り替わるだけで、いきなりゼロにはならないこと
  • 税の扶養と社会保険の扶養は別の制度で、金額も条件も違うこと

まず結論|「136万円」は入口の目安にすぎない

令和8年分の配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が62万円以下であることが条件です。給与だけの人なら、年収136万円以下が目安になります(国税庁が明記している金額です)。

⚠️ この金額は、令和8年12月1日に施行されて令和8年分から適用されるものです。去年までとは違います。ネットの記事を読むときは、それが何年分の話かを必ず確かめてください。

ただし、この「136万円」は給与しかない人のための早見の数字です。

  • ⭕ パートを掛け持ちしていても、給与だけなら使えます。全部の勤務先の年収を合算した金額で判断してください(給与所得控除は、合計した収入に対してかかります)
  • ❌ 給与のほかに副業・年金・不動産などの収入がある人は、この金額では判断できません。給与以外の所得も足して考える必要があります

どちらの場合も確実に判断できるのが、これから説明する3つの手順です。

てどりちゃん

じゃあ「136万円」って覚えなくていいってこと?

うさチュウ

覚えてもいいけど、それだけを頼りにしないでほしいんだ。この金額は改正のたびに変わるし、給与以外の収入がある人には当てはまらない。大事なのは「合計所得金額」という物差しのほう。そっちを覚えておけば、金額が変わっても迷わないよ。

手順①|配偶者の「合計所得金額」を確かめる

税金の世界で使うのは「年収」ではなく「合計所得金額」です。ここを取り違えると、全部ずれます。

給与の場合、年収から給与所得控除という金額を引いたものが所得になります。つまり、

年収 −(給与所得控除)= 給与所得

この計算を自分でしなくていい方法があります。

※給与所得控除額については、以下項目の🔗リンク先(国税庁「給与所得控除」)を参考にしてください。

源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を見る

配偶者の源泉徴収票に、答えがそのまま印刷されていることがあります。「支払金額」の隣にある「給与所得控除後の金額」が、給与所得です。給与以外の収入がなければ、これがそのまま合計所得金額になります。

⚠️ 見る場所を間違えないでください。「支払金額」は年収であって、所得ではありません。

🔴 この欄が空欄のことがあります

「給与所得控除後の金額」が入るのは、その勤務先で年末調整を受けた場合だけです。国税庁は、年末調整が済んでいない源泉徴収票に記載する項目として「支払金額」や「源泉徴収税額」などを挙げていますが、「給与所得控除後の金額」はその中に入っていません。

つまり、次のような票は空欄になります。

  • 年の途中で辞めて、年末調整を受けていない勤務先の票
  • 掛け持ちのうち、申告書を出していないほうの勤務先の票

⭐ 空欄だったときは、「支払金額」のほうを使ってください。掛け持ちならすべての票の「支払金額」を合算し、その合計に対して給与所得控除を引きます(国税庁「給与所得控除」の速算表)。勤務先ごとに引くのではありません。

まだ源泉徴収票がない時期なら

年末調整の申告書を書くのは、その年が終わる前です。この時点では見積りで構いません。

  • 給与明細を1月分から足す(掛け持ちしている場合は全部合算する)
  • 12月までの見込みを足して、今年の年収の見込みを出す
  • 勤務先が1か所で給与だけなら、国税庁「給与所得控除」の速算表で引く金額が確認できます

見積りがずれても、後から訂正できるので、ここは出しておきましょう。
分からないまま空欄で出してこられると困るところです。

手順②|その金額を、国税庁の条件に当てる

合計所得金額が出たら、次はどちらの控除にあたるかを見ます。

配偶者の合計所得金額使える控除
62万円以下配偶者控除
62万円超〜133万円以下配偶者特別控除
133万円超どちらも使えない

配偶者控除と配偶者特別控除は、同時には使えません。どちらか一方です。名前は似ていますが、配偶者の所得がいくらかで自動的に決まるので、自分で選ぶものではありません。

⭐ ここがいちばん誤解されているところです。目安を超えた瞬間に控除がゼロになるわけではなく、配偶者特別控除に切り替わります。そして合計所得金額が95万円以下なら、控除額は38万円のままです(本人の合計所得が900万円以下の場合)。

⚠️ ひとつだけ例外があります

配偶者が70歳以上(老人控除対象配偶者)の場合は、切り替わると控除額が下がります。

配偶者控除なら48万円ですが、配偶者特別控除には年齢による上乗せがありません。いちばん多い場合でも38万円です。

⭐ 70歳以上の配偶者がいる家庭は、「超えても同じ」ではないと覚えておいてください。

そこを超えると、控除額は段階的に少しずつ減っていきます。何段階もあって細かいので、金額は国税庁「No.1195 配偶者特別控除」の表で確かめてください。

⭐ 「早見表」を探している方へ。この国税庁のページにある表が、その早見表にあたります。この記事で同じ表を作り直していないのは、改正のたびに古くなって、読んだ方に違う金額をお伝えしてしまうからです。表は毎年ここへ見に行くものと考えておくと安全です。

てどりちゃん

えっ、じゃあ「103万円を超えたら損する」ってよく聞くのは?

うさチュウ

それ、かなり前の話なんだ。いまは超えても配偶者特別控除に切り替わるから、いきなり全部なくなることはない。それに103万円という数字自体、もう今の金額じゃないよ。⚠️ ただし社会保険の扶養は別の話。そっちは今でも外れると負担が変わるから、あとで説明するね。

手順③|控除を受ける本人の所得制限を確かめる

見落とされがちですが、控除額は「申告する本人」の所得でも変わります。これがいわゆる所得制限です。

本人の合計所得金額配偶者控除の額
900万円以下38万円
900万円超〜950万円以下26万円
950万円超〜1,000万円以下13万円
1,000万円超使えない

本人の合計所得が1,000万円を超えると、配偶者控除も配偶者特別控除も使えません。配偶者の収入がいくら少なくても、です。

※配偶者がその年の12月31日時点で70歳以上(老人控除対象配偶者)の場合は、控除額がそれぞれ48万円・32万円・16万円になります。

⚠️ 副業や不動産収入がある人は、勤務先が把握していない所得があります。申告書の「本人の合計所得金額の見積額」は自分で書く欄なので、ここを空欄や適当な数字にしないでください。

「いくら戻る」かは、人によって違います

控除額がそのまま戻ってくるわけではありません。控除は「税金そのもの」ではなく「税金を計算する前に、収入から差し引く金額」だからです。

控除額 × 自分の所得税の税率 = 減る所得税(おおよその考え方)

所得税の税率は、所得によって変わります。だから同じ控除額でも、戻る金額は人によって違います。自分の税率は国税庁「所得税の税率」で確認できます。

⭐ あわせて、翌年の住民税も下がります。住民税にも配偶者控除があり、こちらは所得税とは控除額が異なります。金額はお住まいの市区町村の案内で確認してください。

条件は金額だけではない|控除対象配偶者の4つの要件

国税庁が示している要件は、全部で4つです。判定するのはその年の12月31日の現況です。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が62万円以下であること ← 手順①②で見たところ
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

⚠️ 金額(3番)ばかり気にしていると、ほかの3つを見落とします。

内縁関係では使えない

法律上の婚姻関係があることが条件です。住民票に「夫(未届)」などと記載されている事実婚の場合、配偶者控除・配偶者特別控除は使えません。

別居していても「生計を一に」なら使える

同居していることは条件ではありません。単身赴任や、学費・生活費を送金している場合は「生計を一にしている」と認められることがあります。逆に、別居していて生活費のやりとりもない場合は要件を満たしません。

配偶者が家業を手伝って給与をもらっているとき

配偶者が自営業の家族の仕事を手伝い、事業専従者として給与を受けている場合は対象外です。青色申告なら「その年に一度も給与を受けていないこと」、白色申告なら「事業専従者でないこと」が条件になります。

⭐ 配偶者の勤め先が家族の事業かどうかを、一度確かめてください。

税の扶養と、社会保険の扶養は別物

ここがいちばん混乱するところです。

スクロールできます
税の扶養(この記事)社会保険の扶養
決めているところ国税庁日本年金機構・健康保険組合
見る金額合計所得金額(1〜12月)これからの収入の見込み
外れるとどうなる世帯の所得税・住民税が増える配偶者自身が保険料を払う

判定の時期も、見る金額の中身も違います。「税の扶養に入っているから社会保険も大丈夫」とは限りません。⭐ 「いくらまで働けるか」を決めるときは、必ず両方を見てください。税だけで決めると、社会保険のほうで手取りが変わります。社会保険のほうは130万円の壁と106万円の壁の違いとは?で確認してください。

年末調整で出す書類

会社員の場合、この控除は年末調整で手続きします。使うのは、この長い名前の用紙です。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

⭐ 名前は長いですが、紙は1枚です。4つの申告書が1枚にまとまっているだけなので、その中の「配偶者控除等申告書」の欄を書きます。会社から配られるので、自分で取り寄せる必要はありません。

提出の期限は、その年最後に給与を受ける日の前日までです。

書くのは主にこの3つです。

  1. 配偶者の氏名・生年月日・続柄(マイナンバーは会社の指示に従う)
  2. 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額(手順①で出したもの)
  3. 本人の本年中の合計所得金額の見積額(手順③で確かめたもの)

提出先は勤務先の総務・人事・経理です。⚠️ 期限に遅れた場合でも、あきらめないでください。年末調整に間に合わなくても、自分で確定申告をすれば控除は受けられます。

まとめ|覚えるのは金額ではなく、確かめる順番

  1. 配偶者の「合計所得金額」を出す(源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を見る。空欄なら「支払金額」を合算して給与所得控除を引く。票がまだ無い時期なら給与明細から見積る)
  2. 国税庁の条件に当てる(62万円以下なら配偶者控除/超えたら配偶者特別控除に切り替わる)
  3. 本人の合計所得も確かめる(900万円・950万円・1,000万円で控除額が変わる)

⭐ 金額は改正で変わりますが、この3つの順番は変わりません。毎年この手順でたどれば、ネットの古い記事に惑わされずに済みます。

そして、税の扶養と社会保険の扶養は別々に確認してください。片方だけ見て働き方を決めると、思っていたのと違う結果になります。

配偶者以外の家族についても同じ考え方で確かめられます。子どもや親を扶養に入れている場合は、扶養控除は年収いくらまで?入れる条件・控除額・年末調整での書き方もあわせて確認してください。

よくある質問

配偶者控除は年収いくらまでですか?

令和8年分は、配偶者の合計所得金額が62万円以下であることが条件で、給与だけの人なら年収136万円以下が目安です。ただしこの金額は改正で変わりますし、給与以外の収入がある人には当てはまりません。年収ではなく「合計所得金額」で判断してください。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が、給与だけの人の合計所得金額です。

配偶者控除と配偶者特別控除は、どちらを選べばいいですか?

選ぶものではありません。配偶者の合計所得金額によって自動的に決まります。62万円以下なら配偶者控除、62万円を超えて133万円以下なら配偶者特別控除です。両方を同時に受けることはできません。申告書は同じ「給与所得者の配偶者控除等申告書」を使います。

配偶者の収入が少し増えました。控除はなくなりますか?

いきなりゼロにはなりません。配偶者控除の条件を超えても配偶者特別控除に切り替わり、配偶者の合計所得金額が95万円以下であれば38万円のままです(本人の合計所得が900万円以下の場合)。それを超えると段階的に減っていき、133万円を超えた時点で使えなくなります。ただし配偶者が70歳以上の場合は、配偶者控除の48万円から38万円に下がります。配偶者特別控除には年齢による上乗せがないためです。減り方の金額は国税庁のページで確認してください。

関連記事

参考情報源

※この記事は2026年9月14日時点の情報をもとに作成しています。⚠️ 金額は改正で変わります。最新の金額と個別の判断は、国税庁のページまたは所轄の税務署でご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次