【第3回】残業代の計算方法|割増率・単価・休日出勤と固定残業代の考え方

連載ゼロから学ぶ給与計算 第3回 残業代どう考える?割増率・単価・休日出勤・固定残業代の基本

この記事は、連載「ゼロから学ぶ給与計算」の第3回です。前回は【第2回】勤怠から支給額を出すで、労働時間の数え方と、欠勤・遅刻早退の分を引く方法を見ました。今回は、勤怠で増えるほうの給与、残業代(割増賃金)の考え方を学びます。

担当者

残業代って、残業した時間に時給をかけるだけじゃないんですか? 休日出勤の日は、何%増しにすればいいのか分からなくて……。

うさチュウ

残業代は、「どの時間に」「何%を上乗せするか」と「1時間あたりの賃金をどう出すか」の2つで決まるんだ。この2つを順番に押さえれば、休日出勤も固定残業代も、迷わずに確かめられるようになるよ。

残業代は、計算のもとになる時間の分け方や、1時間あたりの賃金の出し方を1か所でも間違えると、毎月ずれ続けます。この回では、計算式そのものより、その式に何を入れるのかを、自分の会社の規程で確かめられるようになることを目指します。

※この回は、原則の1日8時間・1週40時間で働く、ふつうの働き方を説明します。変形労働時間制・フレックスタイム制や、週44時間の特例がある事業場は、別に確かめてください。

目次

この回でできるようになること

  1. 働いた時間を「時間外・休日・深夜」に分けて、上乗せの率を見分けられる
  2. 1時間あたりの賃金(残業代の単価)を、規程から出せる
  3. 休日出勤・固定残業代で、払い漏れがないか確かめられる

読む時間の目安:約15分。最後に、確認テスト(5問)と、この回で出てきた用語の説明があります。

まず言葉をそろえよう:「残業」には2種類ある

第2回で、法律で決まった法定労働時間(原則1日8時間・1週40時間)と、会社が決めた所定労働時間の違いを見ました。残業代を考えるときは、この2つのどちらを超えたかで、残業を分けます。

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言葉どんな時間か法律上の割増
法内残業所定労働時間は超えたが、
法定労働時間の範囲内
時間外労働としての割増はなし
(働いた分の賃金は払う。
深夜に当たる分は別。
割増をつけるかは規程による)
時間外労働法定労働時間を
超えた時間
25%以上

たとえば所定労働時間が7時間30分の会社で、ある日に8時間30分働いたとします。所定を超えた1時間のうち、8時間までの30分は法内残業、8時間を超えた30分が時間外労働です。法内残業にも割増をつける会社もあるので、賃金規程の書き方を確かめましょう。

時間外労働や法定休日の労働をさせるには、事業場の社員の過半数で作る労働組合(ないときは、社員の過半数を代表する人)と書面で36協定を結んで、労働基準監督署に届け出ておく必要があります(労働基準法36条)。

なお、36協定がない・残業の申請が出ていないという理由だけで、会社の指示のもとで実際に働いた時間の残業代が、いらなくなるわけではありません。協定の手続きと、賃金を払うことは、分けて考えます。

残業代の基本:単価・時間・割増率を確かめる

時間外労働や法定休日に働いた分は、原則として次の式で計算します。

1時間あたりの賃金 × 時間外・法定休日の時間数 × (1 + 割増率)

深夜に働いた分には、さらに「1時間あたりの賃金 × 深夜の時間数 × 深夜の割増率(25%以上)」を加えます。ふだんの勤務時間内の深夜なら、その時間の給与はもう月給などに入っているので、追加するのは深夜の割増分だけです。「時間外+深夜で50%」のように、率をまとめて計算したときは、深夜の分を二重に足さないようにしましょう。

この式で、担当者が確かめることは3つです。

  1. 時間数:働いた時間を、時間外・休日・深夜に正しく分け、深夜と重なる時間も確かめたか(下の表)
  2. 割増率:それぞれの時間に、正しい率を使ったか(下の表)
  3. 1時間あたりの賃金:月給を、正しい時間数で割ったか(次の見出し)

時間外・休日・深夜の時間の端数(1か月の合計の30分未満の切り捨てなど)は、第2回の「勤怠の端数」で説明したとおりです。

割増率の一覧

割増率は、法律で最低限が決まっています(労働基準法37条・労働基準法施行規則20条など)。会社がこれより高い率を決めているときは、その率で計算します。

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働いた時間割増率(以上)気をつけること
時間外労働25%法定労働時間を超えた分
時間外労働のうち
1か月60時間を超えた分
50%中小企業も2023年4月から
法定休日の労働35%8時間を超えても35%のまま
(時間外の25%は足さない)
深夜労働
(午後10時〜午前5時)
25%管理監督者にも必要
時間外労働 + 深夜50%25% + 25%
1か月60時間を超えた
時間外労働 + 深夜
75%50% + 25%
法定休日の労働 + 深夜60%35% + 25%

つまずきポイント
「1か月60時間」に、法定休日に働いた時間は入りません。一方、土曜日などの法定休日ではない休日に働いた時間外労働は、60時間に入ります。また、1か月の起算日(何日から数えるか)から時間外労働を足していき、60時間を超えた時点から先が50%になります。起算日は、毎月1日・給与の計算期間の初日・36協定で決めた期間の初日などがあり、会社によって違います。締め日が月末でない会社では、給与の計算期間と「60時間を数える1か月」がずれていることもあるので、就業規則で確かめましょう(厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」など)。
労使協定を結び、本人が実際に有給の休暇(代替休暇)を取ったときは、60時間を超えた分の引き上げ分(25%から50%に上がった分)の割増賃金を、その休暇に代えることができます。年次有給休暇とは別の仕組みです。

1時間あたりの賃金(単価)の出し方

残業代の式で、いちばん間違いが起きやすいのが1時間あたりの賃金です。給与の決め方ごとに、出し方が決まっています(労働基準法施行規則19条)。

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給与の決め方1時間あたりの賃金
時給時給の額
日給日給 ÷ 1日の所定労働時間
(日によって違うときは、1週間の1日平均)
月給月給 ÷ 月の所定労働時間
(月によって違うときは、1年間の1か月平均)

時給や日給の人に、役職手当など月額の手当もあるときは、それぞれを1時間あたりの額に直して足します(労働基準法施行規則19条1項7号)。

月給の人は、多くの会社で月によって所定労働時間が違うため、1年間の1か月平均の所定労働時間で割ります。たとえば、毎日の所定労働時間が同じ会社なら「1年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12」、日によって違う会社なら「1年間の所定労働時間の合計 ÷ 12」で求めます。1年間の所定労働日数の考え方は、第2回の「月平均の日数は、どこから出す?」で見たとおりです。

つまずきポイント
「その月の実際の出勤日数」や「暦の日数」で割らないようにしましょう。割る時間数が違うと、単価がずれて、毎月の残業代がずれ続けます。単価に1円未満の端数が出たときの扱い(50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げは認められている)も、規程で確かめます。

単価の計算に入れない手当は7つだけ

月給の「割られる額」には、基本給だけでなく、毎月決まって払う手当も原則として入ります。入れなくてよいのは、次の7つだけです(労働基準法37条5項・労働基準法施行規則21条)。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

つまずきポイント
入れなくてよいかどうかは、手当の名前ではなく中身で決まります。たとえば「住宅手当」という名前でも、住宅にかかる費用に関係なく全員に同じ額を払っているなら、単価の計算に入れます(厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」)。役職手当や資格手当などは、7つに入らないので、単価の計算に入れます。

休日出勤は「法定休日か、所定休日か」で変わる

休日出勤の割増率は、その日が法定休日か所定休日かで変わります。法定休日は、法律で与えることが決まっている休日で、毎週少なくとも1日(または4週間で4日以上)です(労働基準法35条)。

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働いた休日考え方割増率(以上)
法定休日
(例:日曜日と決めている会社)
働いた時間すべてが
休日労働
35%
法定休日ではない休日
(例:週休2日の土曜日)
1日8時間・1週40時間を
超えた分が時間外労働
(日と週で同じ時間を
二重に数えない)
25%
(どちらも超えず、深夜でも
なければ法律上の割増なし)

週休2日の会社では、どちらの休日を法定休日にするかを就業規則で決めておくと、計算に迷いません。就業規則で法定休日を決めている会社なら、その曜日に働いた分が休日労働です(厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A)。

つまずきポイント
休日出勤の手当を、どの休日でも一律35%で計算していないか確かめましょう。会社が所定休日にも35%を払うと規程で決めているなら、その定めに従います。ただし、その時間が月60時間を超える時間外労働に当たるときや、深夜にも働いたときは、35%だけでは足りないことがあります。会社の率と、法律で必要な率の両方を確かめましょう。逆に、法定休日の労働を25%で計算していると不足になります。給与ソフトや勤怠システムで、どの曜日を法定休日として設定しているかを一度見ておきましょう。

振替休日と代休はちがう

休日に働いてもらうとき、「別の日に休んでもらう」方法には、振替休日と代休の2つがあり、割増の扱いが違います(厚生労働省「振替休日と代休の違いは何か」)。次の表は、法定休日に働いてもらう場合を比べています。法定休日ではない休日の勤務は、上で見たとおり、1日・1週の労働時間や深夜の有無、会社の規程で確かめます。

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振替休日代休
いつ決める働く前に、
休日と働く日を入れ替える
休日に働いたあとで、
別の日を休みにする
もとの休日に
働いた分
ふつうの労働日の扱い。
休日労働の割増はかからない
休日労働のまま。
休日労働の割増が必要
気をつけること入れ替えた週の労働時間が
40時間を超えると、
その分は時間外労働
代休の日の給与を引くか
どうかは、規程で確かめる

振替休日は、前もって振り替える日を決めておくことが前提です。就業規則などに振替の決まりがあるかを確かめ、遅くとも前日までに、振り替える日を決めて本人に知らせます。もとの休日が法定休日なら、振り替えたあとも、必要な休日(毎週1日など)が取れているかを確かめます。休日に働いたあとで「振替にしておいて」と処理するのは、代休と同じ扱いになります。

固定残業代:「払っているから大丈夫」ではない

固定残業代は、決まった時間分の残業代を、実際の残業時間にかかわらず定額で払う仕組みです。労働基準法で独立した制度として定められたものではありませんが、厚生労働省は、求人や募集の段階で、次の3つを示すよう求めています。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代が何時間分で、いくらか(計算方法)
  3. その時間を超えた時間外・休日・深夜の労働には、割増賃金を追加で払うこと

担当者にとって大事なのは、3つ目です。毎月の支払いでは、ふだんの給与の部分と割増賃金の部分がはっきり区別できること、そして実際の時間で計算した割増賃金が固定残業代を上回ったら、その差額を支払日に追加で払うことが求められています(厚生労働省 平成29年7月31日 基監発0731第1号)。

そのため、固定残業代があっても、毎月の時間外・休日・深夜の時間は数えます。固定残業代が何の労働(時間外だけか、休日・深夜も含むか)を対象にしているかを確かめ、その対象について正しく計算した額が固定額を上回れば、不足分を払います。対象に入っていない休日・深夜の手当などは、別に計算します。

つまずきポイント
固定残業代が「何時間分の、どの割増(時間外だけか、休日・深夜も含むか)」なのかが、雇用契約書や賃金規程に書いてあるかを確かめましょう。書いていない・ほかの手当と区別できないときは、上司や社会保険労務士に相談してから扱いを決めるのが安心です。また、固定額を据え置いたまま単価(1時間あたりの賃金)が上がると、同じ残業時間でも不足することがあります。昇給のときに見直すことも忘れないようにしましょう。

時間外労働には上限がある

36協定を結んでも、残業させられる時間には法律の上限があります(労働基準法36条)。担当者は、上限を決める人ではありませんが、勤怠を集計する人として、上限に近い人に気づける位置にいます。

原則の上限時間外労働は月45時間・年360時間まで
臨時的な特別の事情が
あるとき(特別条項)
・時間外労働は年720時間まで
・月45時間を超えられるのは、年6か月まで
特別条項があっても
なくても守ること
・時間外労働と法定休日労働の合計は、月100時間未満
・時間外労働と法定休日労働の合計は、2〜6か月のどの平均でも月80時間以内

特別条項は、ふだんは予想できない業務量の大きな増加などで、臨時に上限を超える必要があるときだけ使えます。

※1年単位の変形労働時間制(対象期間が3か月を超えるもの)は、原則の上限が月42時間・年320時間で、月42時間を超えられるのは年6か月までです。また、一部の業種・業務には別の決まりがあります。自分の会社に当てはまる決まりと、36協定に書いてある時間を確かめておきましょう。

上限を超えないように管理するのは会社の責任です。毎月の集計で上限に近い人がいたら、残業を指示する上司や人事に早めに知らせる流れを決めておくと安心です。

「管理職だから残業代なし」は確かめてから

労働基準法の「管理監督者」にあたる人には、労働時間・休憩・休日の決まりが適用されないため、時間外労働と休日労働の割増はかかりません(労働基準法41条)。ただし、管理監督者かどうかは肩書きではなく、仕事の中身・権限・働き方・待遇の実態で判断されます。また、深夜労働の割増は、管理監督者にも必要です(厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」)。

「課長になったら残業代なし」と給与ソフトで設定する前に、その人が管理監督者として扱われることを、会社(人事・責任者)に確かめておきましょう。

給与ソフトで確かめる3つの設定

  • 法定休日の曜日:法定休日と所定休日が、会社の決まりどおりに分かれているか
  • 1時間あたりの賃金の計算:割る時間数(1年間の1か月平均の所定労働時間など)と、入れる手当・入れない手当の設定が規程と合っているか
  • 60時間の数え方:1か月の起算日と、60時間を超えた分を50%で計算する設定になっているか

手当を新しく作ったときは、税金・社会保険料の設定とあわせて、残業代の単価に入れるかどうかも設定します。

経理と話すときの言葉

給与明細では、「時間外手当」「残業手当」などの項目で残業代を確かめます。帳簿では「給料手当」などの科目で記録しますが、科目名や内訳の分け方は会社によって違います。経理担当に確かめておきましょう。

ワーク:自分の会社の「残業代のルール」を書き出そう

就業規則・賃金規程・36協定を見ながら、次の表を埋めてみてください。ここが分かれば、残業代の計算を自分で確かめられます。

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確かめること自分の会社
1日・1週の所定労働時間1日(  )時間(  )分
1週(  )時間
法内残業の割増あり(  %)/なし
法定休日の曜日(  )曜日/決めていない
1年間の1か月平均の所定労働時間(  )時間
(確かめた資料:  )
単価の計算に入れる手当(    )
単価の計算に入れない手当(    )
割増率時間外(  %)・60時間超(  %)
休日(  %)・深夜(  %)
60時間を数え始める日
(1か月の起算日)
毎月(  )日
(給与の計算期間と同じ/違う)
固定残業代なし/あり(何時間分:  ・
時間外・休日・深夜のどれ:  )
振替休日の決まりあり(いつまでに知らせる:  )/なし
代休の日の給与引く/引かない
36協定の上限原則:月(  )時間・年(  )時間
特別条項:あり/なし

うさチュウとQ&A

担当者

前任者から「休日出勤は全部35%」と引き継いだんですが、そのままでいいんでしょうか?

うさチュウ

まず、規程や労働契約に何と書いてあるかと、実際にどう払ってきたかを、責任者に確かめよう。所定休日にも35%を払う決まりでも、月60時間を超えた分や深夜が重なると、35%では足りないことがあるよ。法定休日の労働を25%で計算していないかも、あわせて見ておこうね。

担当者

固定残業代を払っている人は、残業時間を数えなくてもいいんですよね?

うさチュウ

それが一番多い誤解なんだ。固定残業代を払っていても、実際の時間外・休日・深夜の時間は毎月数えるよ。その時間で正しく計算した額が固定残業代を上回ったら、差額を払う必要があるからね。

うさチュウ

残業代は「どの時間に・何%を・いくらの単価に」上乗せするか。この3つを規程で確かめておけば、毎月の計算は落ち着いて確かめられるよ。

確認テスト(5問・答えはクリックで開きます)

Q1. ふつうの働き方で、所定労働時間が7時間の会社です。法定休日ではない日に8時間働き、その週の労働時間も40時間以内でした。深夜の勤務がないとき、所定を超えた1時間に法律上の割増は必要ですか?

必要ありません。1日8時間・1週40時間のどちらも超えていないので、法内残業です。働いた分の賃金は払い、割増をつけるかどうかは会社の賃金規程によります。→ 本文:「残業」には2種類ある

Q2. 法定休日に10時間働きました。8時間を超えた2時間は、35%に時間外の25%を足しますか?

足しません。法定休日の労働は、8時間を超えても35%以上のままです。ただし、午後10時〜午前5時に働いた分には、深夜の25%を足します。→ 本文:割増率の一覧

Q3. 月給の人の1時間あたりの賃金を、その月の実際の出勤日数で割って出してもよいですか?

よくありません。月給の人は、月の所定労働時間(月によって違うときは、1年間の1か月平均の所定労働時間)で割ります。→ 本文:1時間あたりの賃金(単価)の出し方

Q4. 全員に同じ額を払っている「住宅手当」は、単価の計算から外せますか?

外せません。入れなくてよい手当かどうかは、名前ではなく中身で決まります。住宅にかかる費用に関係なく一律に払っているなら、単価の計算に入れます。→ 本文:単価の計算に入れない手当は7つだけ

Q5. 法定休日に働いたあとで、別の日に代休を与えました。もとの法定休日に働いた分の休日割増は必要ですか?

必要です。法定休日に働いたあとで休みを与えるのは代休で、休日労働の事実は消えません。働く前に休日と働く日を入れ替える振替休日なら、休日労働の割増はかかりません。→ 本文:振替休日と代休はちがう

よくある質問

残業代はどうやって計算しますか?

時間外労働や法定休日の労働は「1時間あたりの賃金 × 時間数 × (1+割増率)」で計算し、深夜に働いた分には「1時間あたりの賃金 × 深夜の時間数 × 25%以上」を加えます。割増率は、時間外労働25%以上(1か月60時間を超えた分は50%以上)、法定休日の労働35%以上、深夜労働25%以上が法律の最低限です。

月給の人の残業代の単価は、どうやって出しますか?

月給を、月の所定労働時間で割ります。月によって所定労働時間が違うときは、1年間の1か月平均の所定労働時間で割ります。家族手当・通勤手当・住宅手当など法律で決まった7つの手当は除けますが、名前ではなく中身で判断します。

固定残業代を払っていれば、残業代を追加で払わなくてよいですか?

いいえ。実際の時間外・休日・深夜の時間で正しく計算した割増賃金が固定残業代を上回るときは、その差額を追加で払います。固定残業代の対象に入っていない休日・深夜の手当なども別に計算します。そのため、固定残業代があっても、実際の時間は毎月数えて確かめます。

この章で出てきた用語

本文で青い文字になっている言葉は、ここで意味を説明しています。分からない言葉が出てきたら、いつでもここに戻ってきてください。

割増賃金(わりましちんぎん)
法定労働時間を超えた時間外労働、法定休日の労働、深夜(午後10時〜午前5時)の労働に対して、ふだんの賃金に上乗せして払う賃金です。一般に「残業代」と呼ばれます。上乗せの率は法律で最低限が決まっています。

法内残業(ほうないざんぎょう)
所定労働時間は超えたけれど、法定労働時間(1日8時間・1週40時間)の範囲内におさまる残業のことです。時間外労働としての割増は必要ありませんが、働いた分の賃金は払います(深夜に当たる分は別に割増が必要)。割増をつけるかどうかは、会社の賃金規程によります。

時間外労働(じかんがいろうどう)
法定労働時間(原則1日8時間・1週40時間)を超えて働くことです。させるには36協定が必要で、25%以上の割増賃金がかかります。会社の所定労働時間を超えても、法定労働時間内なら、法律上の時間外労働ではありません。

36協定(さぶろくきょうてい)
時間外労働や法定休日の労働をさせるために、会社が、社員の過半数で作る労働組合(ないときは社員の過半数を代表する人)と書面で結び、労働基準監督署に届け出る協定です。労働基準法36条にもとづくので、こう呼ばれます。残業させられる時間には上限があります。

深夜労働(しんやろうどう)
午後10時から午前5時までの間に働くことです。25%以上の割増賃金がかかり、時間外労働や休日労働と重なると、率を足して計算します。

法定休日(ほうていきゅうじつ)
法律で与えることが決まっている休日です。毎週少なくとも1日(または4週間で4日以上)。この日に働くと、35%以上の割増賃金がかかります。どの日を法定休日にするかは、就業規則で決めておくのが望ましいとされています。

所定休日(しょていきゅうじつ)
会社が就業規則で決めた休日です。週休2日なら、法定休日のほかのもう1日などがこれにあたります。法定休日でない休日に働いた分は、休日労働ではなく、1日8時間・1週40時間を超えた部分が時間外労働になります。

振替休日(ふりかえきゅうじつ)
前もって、休日と働く日を入れ替えることです。もとの休日は働く日になるので、休日労働の割増はかかりません。ただし、入れ替えた結果その週の労働時間が40時間を超えると、その分は時間外労働になります。

代休(だいきゅう)
休日に働いたあとで、その代わりに別の労働日を休みにすることです。代休を与えても、もとの勤務に必要な割増賃金はなくなりません。法定休日に働いた場合は、休日労働の割増が必要です。

固定残業代(こていざんぎょうだい)
決まった時間分の残業代を、実際の残業時間にかかわらず定額で払う仕組みです。ほかの給与と区別でき、何の労働の何時間分・いくらかが明らかであることが前提です。実際の時間で正しく計算した額が固定額を上回る場合は、不足分を追加で払います。

連載「ゼロから学ぶ給与計算」

前の回:【第2回】勤怠から支給額を出す / 次の回:【第4回】社会保険料の計算方法

連載|ゼロから学ぶ給与計算(全11回)

何も知らない状態から、給与計算を自分で計算して確かめられるようになる連載です。上から順に読むと、迷わず進めます。

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参考にした公的機関の情報

※この記事は2026年10月時点の公的情報をもとに、一般的な内容をまとめたものです。制度は改正される場合があります。残業代の扱いは、自社の就業規則・賃金規程・36協定と、厚生労働省などの公式情報でご確認ください。

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