6月は今年度の住民税額通知が届きます
「また届いた……でも、何が書いてあるのかよくわからない」
毎年6月になると、会社(給与担当部門)から1枚の書類が配られます。「特別徴収税額決定通知書」、いわゆる住民税の通知書です。
こちらの通知書、開封しても「ふ〜ん……」と内容を確認しないで片付けていませんか?
数字がずらりと並んだこの通知書、ぱっと見ても内容がつかみにくいですよね。
「なんで去年より高いの?」「ふるさと納税した分はちゃんと引かれてる?」「そもそも、どこを見ればいいの?」――そんなモヤモヤを感じている方も多いのではないでしょうか。
数字や細かい文字を見ただけで拒否反応がある方へ、この記事では、令和8年度(2026年6月〜)の住民税通知書の見方と、確認しておきたいポイントを実務目線でやさしく解説します。
住民税とは
住民税とは、地域社会の会費的なものです。
私たちは様々な地域密着の行政サービスを受けています。
たとえば上下水道、ゴミ収集、福祉、公共施設、学校教育などです。私たちの生活を支える、これらの活動費を地域に住む皆んなで負担するシステムです。
住民税は地方税です
国と地方で行政事務の分担が決められています。また、地方で賄う分担でも、道府県と市町村で分担するため、住民税を分解すると「道府県民税」と「市町村民税」となり、納税する際は合計額を納めます。
・個人住民税=道府県民税+市町村民税
※東京都では「都民税」という名称で徴収されます。
① 「前年の所得」に基づいて計算される
令和8年度(2026年6月〜2027年5月)の住民税は、令和7年(2025年)1月〜12月の所得をもとに計算されます。「去年より収入が増えた」「転職した」「副業を始めた」などの変化が今年の住民税に直接反映されるため、金額が変わりやすいのです。
② 所得税とは別のルールで計算される
所得税と住民税は似て非なるもの。税率も控除の金額も異なります。年末調整で所得税の精算が終わっていても、住民税は別途、市区町村が独自に計算して通知を出します。
③ 通知書の記載項目が多く、専門用語が並んでいる
「課税標準額」「税額控除額」「所得控除合計」……慣れないと何を見ればよいか迷います。項目の多さが、通知書をわかりにくく感じさせる一因です。
3つのポイントを確認しよう!
住民税通知書で確認すべきポイントは大きく3つです。
- 月々の天引き額が正しいか:6月から翌年5月まで、毎月の給与から引かれます
- 令和8年度の変更点が自分に適用されているか:給与所得控除の計算が一部変わりました
- 各種控除がきちんと反映されているか:ふるさと納税・住宅ローン控除など
まず通知書の「月割額」を確認し、次に「控除の欄」で去年と違う点をチェックするのが基本の流れです。
月々の天引き額と徴収スケジュール
会社員の住民税は「特別徴収」といって、毎月の給与から天引きされます。
新しい税額が適用されるのは6月支払いの給与からです。
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 4月・5月の給与 | 前年度(令和7年度)の住民税が引かれている |
| 6月〜翌年5月の給与 | 令和8年度の新しい税額が毎月の給与から引かれる |
4月・5月はまだ昨年度の住民税が天引きされています。6月の給与から金額が切り替わるので、6月の給与明細で月額が変わったかどうかを確認しましょう。
また、通知書に書かれている「月割額」が毎月の天引き額と一致しているかを給与明細と照合することが大切です。端数処理などで6月分だけ他の月と金額が違うこともありますが、通知書と給与明細がずれているように見える場合は、会社の給与担当者に確認してください。
令和8年度から給与所得控除の最低保障額が変わった
令和8年度(2026年度)の住民税計算から、重要な変更が1つ適用されています。
給与所得控除の最低保障額が55万円→65万円に引き上げ
これは、いわゆる「年収の壁」への対応として令和7年度の税制改正で決まったもので、所得税では令和7年分(2025年分)から、住民税では令和8年度(2026年度)分から適用されます。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、所得税より1年遅れて反映されるのがポイントです。
給与所得控除とは、最低保証額が適用されると、実経費を使っていなくてもその金額分が収入から引かれます。会社員が給与収入から差し引くことができる「みなし経費」のようなものです。給与収入から給与所得控除などを差し引いた残りの金額(課税所得)に課税されます。
今回の改正では、最低保障額が引き上げられただけでなく、最低保障額が適用される給与収入の範囲も拡大されたため、差し引ける金額が増えて住民税の負担が軽減されます。
| 令和7年度まで | 令和8年度から | |
|---|---|---|
| 給与所得控除の最低保障額(住民税) | 55万円 | 65万円 |
| 最低保障額が適用される給与収入の範囲 | 162.5万円以下 | 190万円以下 |
年収が190万円以下の方は、住民税が下がる可能性があります。
これまでは給与収入162.5万円以下の方が最低保障額(55万円)の対象でしたが、改正後は給与収入190万円以下の方まで最低保障額(65万円)の対象が広がりました。年収が少ない方ほど、この引き上げの恩恵を受けやすくなっています。通知書を見るときは、「給与所得」や「総所得金額」「課税標準額」の欄に変化がないか確認してみましょう。
なお、所得税では基礎控除も引き上げられましたが、住民税の基礎控除(最大43万円)は変更ありません。「基礎控除も上がったはず」と思って通知書を見ると混乱しやすいので、ここは分けて考えると安心です。
(参考:令和7年度税制改正の大綱。住民税では令和8年度分以後に適用)
通知書が「電子データ」になっている場合がある
令和6年度(2024年度)から、会社がeLTAX(エルタックス)を通じて、従業員用の住民税通知書(納税義務者用)を電子データとして受け取れるようになりました。
会社がこの電子データでの受け取りを選択している場合、従業員への通知も紙ではなくPDFファイル等で配布されることがあります。
電子データで受け取る場合の一例:
- 会社からZIPファイルとパスワード案内が届く
- 案内に記載された専用サイトでパスワードを取得する
- ZIPファイルを解凍して通知書PDFを確認する
電子データで受け取るかどうかは会社側の選択によるため、勤務先によって対応は異なります。「今年は通知書が来ない」と感じたら、まず会社の給与担当者や総務担当者に「電子化対応になっているか」を確認してみましょう。
住民税通知書の見方・3ステップ
ステップ1:「月割額」を確認する
通知書の右側または下部に「月割額」として記載されています。これが毎月の給与から天引きされる金額です。
6月の給与明細と照らし合わせて、天引き額と一致しているかを確認しましょう。
ステップ2:「控除」の欄をチェックする
- ふるさと納税をした方:「税額控除」の欄に金額が記載されているはずです
- 住宅ローン控除をしている方:住民税から差し引かれる分がある場合、「税額控除」に反映されます
前年と比べて控除が少ない・多いと感じた場合は、昨年の年末調整や確定申告の申告内容と照らし合わせてみてください。控除の申告が漏れていた場合は、住んでいる市区町村の税務課に問い合わせると対応方法を教えてもらえます。
ステップ3:「課税標準額」をメモしておく
「課税標準額」は、住民税の計算の土台になる金額です。課税証明書や各種申請で税額・所得に関する情報が必要になる場面もあるため、通知書が手元にある間に、課税標準額や所得割額をメモしておくと確認しやすくなります。
ケース別の確認ポイント
住民税通知書は、細かい金額を自分で計算し直すよりも、「どの欄を見ればよいか」を押さえることが大切です。
ふるさと納税をした方
まず見るのは、通知書の「税額控除」や「寄附金税額控除」といった欄です。
ふるさと納税をしたのに控除らしい記載が見当たらない場合は、ワンストップ特例の手続きや確定申告の内容が反映されていない可能性があります。慌てて自己判断せず、申告書の控えや寄附先から届いた書類を手元に用意して、市区町村の税務課に確認しましょう。
パート・アルバイト収入の方
令和8年度は、給与所得控除の最低保障額と、その適用範囲が変わっています。
パート・アルバイト収入の方は、通知書の「給与所得」「課税標準額」「所得割額」のあたりを前年分と見比べてみましょう。前年と収入が大きく変わっていないのに住民税が変わっている場合、制度改正の影響が出ていることがあります。
ただし、扶養の状況、社会保険料、生命保険料控除、自治体ごとの扱いなどによって結果は変わります。「下がるはず」「必ず安くなる」と決めつけず、通知書の内容を確認することが大切です。
昨年より住民税が増えた方
住民税が増えたときは、まず前年の収入に変化がなかったかを思い出してみましょう。
残業代や賞与が増えた、副業収入があった、控除が減った、扶養の状況が変わったといった事情があると、住民税が上がることがあります。給与明細だけで判断せず、年末調整や確定申告の内容と合わせて確認すると原因を見つけやすくなります。
令和6年度〜7年度に実施された住民税の定額減税が終了しました。
これにより、減税されていた期間と比べると税額が増えたように感じられます。
通知書の見方に不安がある方
数字が合っているかを自分だけで判断する必要はありません。
気になる点がある場合は、会社員ならまず会社の給与担当者や総務担当者に確認しましょう。ふるさと納税や控除の反映など、税額そのものに関する内容は、住んでいる市区町村の税務課に問い合わせると確認できます。
今日からできるアクション
- 6月の給与明細と通知書を照合する:月割額が一致しているか確認する
- ふるさと納税をした方:税額控除欄に控除が反映されているか確認する
- 「昨年より増えた」と感じたら:2025年の収入増・ボーナス増・副業収入が原因の可能性が高い
- 年収が190万円以下の方:令和8年度から住民税が下がっていないか確認する
- 通知書が届かない場合:会社の総務・給与担当者に電子化対応の有無を確認する
- 各種申請で住民税の情報が必要になりそうな方:「課税標準額」や「所得割額」をメモしておく
まとめ
住民税通知書は、「前年の収入に対して今年いくら税金を払うか」が書かれた大切な書類です。
令和8年度は給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられ、その適用範囲も給与収入190万円以下まで拡大されたため、収入の少ない方を中心に住民税が下がる場合があります。また、6月からの月額切り替え・ふるさと納税の控除確認・電子化への対応など、確認ポイントを押さえておくと安心です。
「届いたら月額を確認して終わり」ではなく、控除の反映をしっかりチェックする習慣をつけましょう。
関連記事・CTA
住民税が6月から変わる理由や、給与明細全体の見方も合わせてご覧ください。
- 住民税が6月から変わる理由についてはこちら:住民税が6月から変わる理由【給与明細で確認】
- 給与明細全体の見方はこちら:給与明細の見方を初心者向けに解説
- 社会保険料の給与明細での確認方法:給与明細の社会保険料の見方を解説
ご自身の住民税の金額に疑問がある場合は、お住まいの市区町村の税務担当窓口にご相談ください。
※この記事は作成時点の公的情報をもとに一般的な内容をまとめたものです。制度は改正される場合があります。実際の判断は、総務省・お住まいの市区町村・専門家に確認してください。
